東京高等裁判所 平成10年(行ケ)32号 判決 1999年12月09日
原告
A
訴訟代理人弁護士
金子光邦
小池邦吉
弁理士
B
被告
株式会社京都スペーサー
指定代理人
E
代表者代表取締役
C
訴訟代理人弁理士
D
主文
特許庁が平成7年審判第23360号事件について平成9年12月17日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
主文第1項同旨の判決。
第2 特許庁における手続の経緯
原告は、名称を「鉄筋コンクリート工法及び該工法で使用する梁交差部柱フープ筋幅止め具」とする特許第1746078号発明(昭和60年3月12日特許出願、平成3年9月24日に出願公告(特公平3-61813号公報)、平成5年3月25日設定登録。本件発明)の特許権者であるが、被告は、平成7年10月24日、本件発明について無効審判請求をし、平成7年審判第23360号事件として審理されたが、平成9年12月17日、別紙1の理由により「特許第1746078号発明の明細書の特許請求の範囲第1項ないし第2項に記載された発明についての特許を無効とする。」との審決(本件審決)があり、その謄本は平成10年1月7日原告に送達された。
原告は平成10年2月4日訂正審判の請求をし、平成10年審判第39007号として審理された結果、平成11年7月21日、別紙2の理由により「特許第1746078号発明の明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。」との審決(訂正審決)があり、その謄本は同年8月4日原告に送達され、訂正審決は確定した。
第3 原告主張の審決取消事由
本件審決は、訂正前の特許請求の範囲第1項及び第2項に係る特許は特許法29条2項、123条1項2号に該当すると判断したが、訂正審決が確定したことにより、本件審決はその根拠を失ったので、取り消されるべきである。
第4 当裁判所の判断
訂正審決に示されているように、平成10年12月21日付け手続補正書による訂正は、本件発明の特許請求の範囲第1項を削除し、第2項を第1項としその減縮を行おうとするものである。したがって、確定した訂正審決によって上記訂正が適法と認められた以上、本件審決は、本件発明の要旨を結果的に誤って認定して公知の発明との対比判断をしたことになり、この誤りは本件審決の結論に影響を及ぼす可能性のあることが明らかである。
よって、本件審決は取り消されるべきである。
(平成11年11月25日口頭弁論終結)